厚生労働省が4日に発表した2024年の人口動態統計によると、24年に国内で生まれた子どもの数は68万6061人となり、前年に比べて4万1227人減少、9年連続の最少更新となった。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も過去最低の1・15となり、前年より0・05ポイント低下。依然として深刻な事態が続いている。
国は、1994年のエンゼルプランに始まり、新エンゼルプラン、子ども・子育てビジョン、待機児童解消加速プラン、新・放課後こども総合プランを相次いで策定。親の仕事と子育てを両立させ、子どもを生み育てやすい環境づくりを進めてきた。しかし、30年以上にわたる取り組みでも少子化の流れに歯止めがかからなかったことを真剣に受け止めなければならない。この国の存亡にも関わる最大の有事ともなり得るからだ。
かすかな希望はある。24年の婚姻数が48万5063組で、前年より1万322組増えたことだ。政府内に「こども家庭庁」が23年に発足し、子ども・子育て支援制度に基づく各種事業を本格的に展開し始めている。少子化の背景に晩婚化や晩産化などさまざまな理由が指摘されているが、より幅広く若者の意見を聞き、迅速で実効ある対策を求めたい。(教)