王さん「太陽のような先輩」

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  • 2025年6月9日

 いつかは訪れると覚悟していた盟友との別れ。理解はできても、現実を受け入れるのはつらい。王貞治さんは「あなたへの弔辞を読む日がこんなに早く来るとは、思ってもいなかった」と語りかけた。

 王さんより1年先に巨人に入団した長嶋茂雄さんは、優しくて明るい「太陽」のような先輩だったという。非凡な打撃で活躍するコンビは「ON」砲の愛称でファンに親しまれ、巨人はV9の金字塔を打ち立てた。共に駆け抜けた日々を思い浮かべながら、「あなたとの六十有余年、忘れることのできない貴重な年月だった。感謝しかない。さようなら」と別れを告げた。

 松井秀喜さんも恩師との思い出を振り返った。1992年のドラフト会議で1位指名され、すぐに電話をくれたこと。長嶋さんが監督を退任する時、恒例の素振り指導が最後になると思い涙したこと。三塁を守りたいと一度だけお願いしたこと。どれも鮮明に覚えている、掛け替えのない時間だった。

 悲しみに暮れる中、松井さんは「なぜ私にたくさんのことを授けてくれたのか。その意味、その答えを自分自身が心の中で監督に問い続ける。だから、ありがとうもさようならも言わない。引き続きよろしくお願いします」と顔を上げる。師が先に旅立っても、2人の絆が途絶えることは決してない。

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