古里

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月9日

 苫小牧から車で1時間ほどの山あいに町がある。生まれ育ち、中学まで過ごした。久しぶりの古里は、新緑の匂いがすがすがしい。この匂いは何十年と年を刻んでも昔の風景を思い出させてくれる。

 恐竜化石の発見で有名になった。カムイサウルス・ジャポニクス(通称むかわ竜)の全身化石が発掘されている。幼少の頃、学校近くの土手を友人と掘り、矢尻や土器らしき物の破片を見付け、磨きながら古代に思いを巡らせていた。

 だから、むかわ竜の化石が発見された時も「古里なら」とそう驚きはしなかった。学術的にすごい発見は驚嘆に値するが。何せ、日本の恐竜研究史に残る奇跡の発見とされている。化石発掘に関わった訳でもないのに、誇らしい。

 その全身化石の一部が保存されている博物館周辺で新施設の整備が進み始めている。先んじて温浴カフェ施設「樹海温泉ほべつ」がオープンした。その隣で新博物館の建設が急ピッチだ。体長8メートルのむかわ竜だけに、全身復元骨格のレプリカも尾の一部は現博物館では展示できない状態。それも解決に向かう。

 活性化を模索する地域の期待も背負う新博物館。7万2000千年前の恐竜へ思いをはせながら、どんな内容を見せてくれるか。古里にわくわくしている。(昭)

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