水揚げ量日本一を続ける苫小牧産ホッキ貝の2024年度漁(漁期は7月~翌年4月)は、漁獲量が6・0%増の825トン、漁獲高が29・3%増の約5億1100万円だった。1キロ当たりの平均単価は619円で、前年比112円高の高値で取引されたことが大きく、金額は5億円の大台に到達。高いブランド力を誇る苫小牧産ホッキ貝が市場で好まれ、近年例のない好結果を記録した。
苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)のまとめ(速報値)で、金額は税抜きの市場卸売価格。
平均単価は4年連続で前年度実績を上回った。新型コロナウイルス感染症が流行した20年度、主に関東圏の飲食店需要が激減し、平均単価は386円と落ち込んだが、その後4年間で約6割もアップ。内訳は、夏ホッキ(7~11月)が653円で70円高、冬ホッキ(12~翌年4月)が590円で140円高。コロナ前の平均価格400~500円台をも大きく上回るV字回復を達成した。
漁獲高も17年度以降は3億円台が続き、近年は「4億円超え」が悲願となっていたが、前年度より約1億1500万円も上回り、一気に5億円の「大台」に乗った。漁獲量も22年度以来2年ぶりに、800トンを超えたことも大きな理由。同年度は老齢貝の間引きも漁獲量に含んだため価格が伸びなかったが、今回は増量分がそのまま金額に反映された。
同漁協のホッキ漁は、資源管理の徹底で安定した漁獲量につなげ、ひいてはブランド力の向上にも結び付けている。漁獲は道の規則で殻長7・5センチ以上のところ、同漁協は同9センチ以上の独自基準を設定。地域ブランド「苫小牧産ほっき貝」として登録し、水産エコラベルの国際認証「マリン・エコ・ラベル(MEL)」を取得するなど、他産地との差別化や世界基準への適応などを進めてきた。
同漁協は24年度漁の好結果に「苫小牧産ホッキに関わる皆さまのおかげ。ブランドを理解してもらい、高値で買い支えてくれている」と感謝。同漁協としても23年度から貝毒の毎週検査を独自に続け、安全・安心で持続可能なホッキの供給に努めており、「手間も費用も掛かるが、苫小牧産ホッキが皆さまに選んでもらえるよう、取り組みを続けていきたい」と話す。
漁業者一人当たりの漁獲上限、いわゆるノルマも前浜の豊富な資源量を受け、20年は8・2トン、21年は9・2トン、22年は10トン、23年は11トン、24年は12トンと右肩上がりで、「今年も増産できたら」と期待。苫小牧沿岸では地球温暖化の影響からか、主力の秋サケやスケトウダラが著しい不漁続きで、漁業者の収入確保に課題もあるだけに、日本一を誇るホッキの安定供給が、今後も苫小牧漁業の柱となりそうだ。