政府は11日、外国人労働者の在留資格「特定技能」と「育成就労」の運用について検討する有識者会議を法務省で開いた。バス・タクシー業界の深刻な人手不足に対応するため、運転手として働くのに必要な日本語能力要件を緩和する案を提示。了承を得られれば、入管難民法に基づく「分野別運用方針」を改定する考えだ。
バス・タクシー運転手は、一定の知識や経験が必要で就労期間が最長5年の「特定技能1号」で受け入れている。接客や緊急時の対処が求められることから、他よりも高い語学力を条件とする。
しかし、今年4月末時点でバス・タクシー運転手の特定技能評価試験の合格者がゼロだったことを受け、基準を緩和することにした。現在は5段階ある語学能力試験のうち3番目で、日常的な日本語をある程度理解できるレベルである「N3」を課しているが、これを一つ下の「N4」へ変更。そのレベルの運転手には「日本語サポーター」の同乗を義務付け、早期のN3取得を促すとしている。
特定技能1号と育成就労の対象として、①物流を管理する「物流倉庫」②ホテルや病院にシーツなどを提供する「リネン供給」③廃棄物処分に当たる「資源循環」―を追加する案も有識者会議に示した。各業界の人手不足を踏まえた対応。政府は年内の分野別運用方針改定を目指している。
育成就労は現在の「技能実習」に代わって2027年4月にスタート。受け入れた外国人材を3年間で特定技能1号の水準に引き上げることを目的とする。