柔道の世界選手権は13日にブダペストで開幕する。日本勢の注目は男子66キロ級で五輪連覇の阿部一二三と、妹で女子52キロ級の詩(ともにパーク24)。いずれも5度目の大会制覇に挑む。
阿部一は、他を寄せ付けない強さを示したパリ五輪以来となる国際大会。「自分の柔道を出せれば優勝できる」と泰然と臨む。頂点に立てば、日本男子で歴代単独最多のV5。それについても「結果を残し続けることでおのずと達成できればいい」と気負いはない。
世界ランキングポイントは2年で消滅するため、今大会の成績は2028年ロサンゼルス五輪の出場枠やシード権に直結しない。それでも王者は休むことを選ばなかった。「(体が)戻るのに、必ず時間はかかる。戦う覚悟はこの3年間で仕上げていければいい」。頂点に君臨し続け、五輪3連覇の偉業につなげるつもりだ。
自然体を貫く兄とは対照的に、妹は並々ならぬ闘志を燃やす。「もう一度、世界一になるという目標を達成する」。五輪連覇の夢が破れたパリから休養を経て、今年2月のグランドスラム・バクー大会で優勝。4月の全日本選抜体重別選手権も制した。
パリの2回戦で敗れた金メダリストのディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)は妊娠を発表し、今大会は欠場。雪辱の機会は持ち越されたものの、世界女王の返り咲きへ「持ち味である一本を取る柔道を出したい」と気合を入れる。
2人は大会第2日に登場。阿部一は「パリでは(妹が負けて)悔しさを感じた。五輪の次に大きい舞台で、兄妹での金メダルを目指す」。達成できれば、ロスに向けて最高のスタートになる。