【カイロ、イスタンブール時事】イスラエルのネタニヤフ首相は13日、イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設や核科学者らを標的に攻撃を加えたと発表した。イランのメディアによれば、首都テヘランなどで複数の爆発音が聞こえ、精鋭軍事組織「革命防衛隊」トップのサラミ司令官が死亡した。イスラエルによる対イラン攻撃は昨年10月以来で、トランプ米政権発足後は初めて。
米国はイランの核兵器保有阻止に向けて同国との核協議を優先。イランと激しく対立するイスラエルに自制を求めてきたが、今回の攻撃で中東情勢は一気に緊迫化した。
イスラエル軍は、空軍機数十機が参加した攻撃の第1段階が完了したと発表。カッツ国防相は、イランからの反撃が差し迫っているとして国内に非常事態を宣言した。
トランプ大統領は12日、ホワイトハウスで記者団に対し、イスラエルが対イラン攻撃に踏み切る可能性があると警告していた。ただ、イランとの核合意が近づいているとも指摘。「攻撃は望まない。衝突回避を望む」と述べ、イスラエルに自制するよう要求していた。
ルビオ国務長官は、米国は攻撃に関与しておらず、米国人を報復の対象にしないようイランに警告した。
トランプ政権は11日、一部の在イラク大使館員に国外退避を指示したほか、中東地域に駐留する米兵の家族が地域外に自主退避することを承認。トランプ氏は同日、中東地域が「危険な場所になる可能性がある」と語っていた。