6度目の挑戦でついに手にした悲願のタイトル。男子60キロ級の永山は「焦らず落ち着いて、勝ち筋を見つけることを徹底できた」と実感を込めた。
初戦の2回戦から先手を奪えず「いつもの負けパターン」の展開が続いても、冷静な試合運びが光った。フランスの新鋭、バラディエピカールとの決勝では、袖釣り込み腰で技ありを取った直後に左腕の関節を取られたが、「骨が折れても参ったはしない。気合で持ち上げた」。勝利への執念で大ピンチを切り抜け、合わせ技での一本勝ちにつなげた。
銅メダルを獲得したパリ五輪では準々決勝で、審判の「待て」がかかった後も締められ続け、失神しての一本負け。不可解な判定に後味の悪さが残ったが、自分に甘さがあったと受け入れた。2028年ロサンゼルス五輪への再スタートにあたり、持ち味である投げの練習を「封印」。強引に攻め、試合運びが雑になる悪癖の修正に取り組んだ。
大舞台で稽古の成果を示した新王者は「結果はうれしいが、このままじゃ五輪での金メダルは難しい。喜んでいる暇はない」。新境地を開いても、まだ満足はしない。