13日、イスラエルのテルアビブ近郊で、イランからのミサイル攻撃を受け、活動する救助隊員ら(ロイター時事) 【イスタンブール、カイロ時事】イラン国営メディアは13日、イスラエルに向けて数百発の弾道ミサイルを発射する反撃作戦を始めたと伝えた。イスラエルが同日にイラン核・軍事施設を大規模攻撃し、軍幹部や核科学者ら多数の要人を殺害したことへの報復措置。イランの革命防衛隊は声明で、イスラエル領内の軍事基地や兵器製造施設などを攻撃し、「数十の弾道ミサイルが戦略的目標に達した」と主張した。
イランの最高指導者ハメネイ師は、反撃開始直前に公開されたビデオ演説で「シオニスト政権(イスラエル)は大きな過ちを犯した。この犯罪から無傷で逃れることは許さない」と警告した。
イランがイスラエル本土を狙って攻撃に踏み切ったのは昨年4月と10月以来3度目。イスラエル軍報道官はミサイルの大半を迎撃したとしている。イランからは14日未明になっても断続的にミサイルが発射されており、革命防衛隊幹部は地元メディアで「作戦は必要な限り続く」と述べた。
イスラエル全土で空襲警報が作動し、エルサレムや商都テルアビブで爆発音が聞こえた。高層アパートなどが被害を受けたもようで、イスラエルのメディアは同国で1人が死亡、60人以上が負傷したと伝えた。カッツ国防相は「イランは民間人が住む地域にミサイルを撃ち込み、レッドライン(越えてはならぬ一線)を越えた」と非難した。
米当局者は13日、取材に対し、イスラエルを狙ったミサイルの迎撃を米軍が支援したと明らかにした。具体的な支援の内容には触れなかった。中東地域にある米軍基地への攻撃などの被害は伝えられていない。
一方、イスラエルも13日から14日にかけて、イラン各地で攻撃を続行。中部フォルドゥやイスファハンの核施設周辺で複数の爆発が起きたと報じられた。地元メディアなどによると、首都テヘランでは14日未明に防空システムが作動し、爆音が響いているという。
これに対し、イランのメディアは北西部タブリーズでミサイルを迎撃したほか、「防空部隊が小型機やドローンを撃ち落とし、F35戦闘機2機も破壊した」と主張した。
ネタニヤフ首相は13日、イラン国民向けの動画で、「さらなる攻撃が待ち受けている。イスラム体制はかつてなく弱体化しており、自由のため立ち上がる好機だ」と政権打倒への蜂起を訴えた。