コンプライアンス意識高める 内部統制機能の充実強化 苫信 久保田新理事長が会見

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  • 2025年6月18日
記者会見する久保田新理事長

 北海道財務局から業務改善命令を受け、今月9日に業務改善計画を出していた苫小牧信用金庫は、17日の総代会で経営陣17人のうち理事・監事10人が退任(内訳は引責7人、定年3人)し、新たな理事長に久保田順司氏(53)を選んだ。新態勢では非常勤を含む理事・監事は12人に縮小し、代表理事は久保田理事長と常勤理事から昇任した後藤学常務理事(59)の2人に。さらに外部から、弁護士で金融庁に在籍経験のある杉山典彦氏(63)を常務理事に、信金中央金庫で役員や監事を歴任した千坂博道氏(62)を常勤監事に迎えた。失った信頼を回復することができるのか、久保田新理事長の記者会見での主な一問一答は次の通り。

 ―新理事長として業務改善命令の受け止めは。

 「金融機関にとっては非常に重い。本当に厳粛に受け止めている」

 ―これまで非常勤を含めて17人体制の役員だった。5人減の12人でスタートする意図は。

 「大人数であったことも、経営管理体制で問題があった。コンパクトで、内部的にもしっかりと意思疎通を図れる体制をつくる」

 ―自分たちでまとめた業務改善計画の評価と抱負。

 「経営管理体制の再構築や法令等順守意識を含む、内部統制機能の充実強化を図る、この改善計画を進めて信用信頼回復することが一丁目一番地。職員は法令順守などで問われた部分もあるので、コンプライアンス意識の醸成をしっかりと行っていきたい」

 ―業務改善計画の優先順位は。第三者委員会を含め、いつまでに何をどの程度達成したいか。

 「現時点でも(不動産や子会社は)法令違反などの状態で、速やかに処理をしていく。第三者委員会については、私どもから申し上げられる状況ではない。(第三者委の)弁護士からもできるだけ速やかにやっていきたいと聞いている」

 ―不動産の売却はいつまでに進めたいか。

 「売却相手があること。違法性のあるものはできるだけ速やかにという状況」

 ―違法状態の不動産取引が横行していた原因は。

 「原因の一つにはコンプライアンスへの意識、経営陣を含めて『そこは法令に抵触する』という部分がもう少々しっかりしていれば、当然そういったことは起きなかった」

 ―改善計画の中に「今後相互監視など進める」とあるが具体的には。

 「外部招聘(しょうへい)した新役員の1人が、弁護士資格を持ち、金融にも精通している。5月30日に経営層を含めた幹部職員に向け、法令順守など態勢づくりのため研修をした。定期的に職員に対応することで、コンプライアンス強化をしっかりとやっていきたい」

 ―取引先や市民に向けた透明性をどのように確保するのか。

 「信用信頼が第一の信用金庫なので、法令等違反に問われる事態を招いたことから見ても、誠実さを持って対応していく。ルール作りを改めながら、コンプライアンス意識も高めたい」

 ―業務改善命令の発端には元非常勤理事の発言力などがあった。元非常勤理事への弁済請求、役員報酬の返還などは求めていくか。

 「第三者委員会などの評価を含めて、必要に応じて対応する」

 ―元非常勤理事から反論や反応は。

 「私自身は把握していない。反応があったとは聞いていない」

 ―業務改善命令から約1カ月。影響は。

 「指定金融機関を担っている苫小牧市については特別監査を受けた。取引解消は多少あったかもしれないが、それが理由だったか把握できない。窓口では『これから頑張って』と言われると聞いている」

 ―業務改善命令をきっかけにした退職者や、今後の採用活動への影響は。

 「退職者はない。採用については、影響はゼロではない。今後信頼回復に努めるしかない」

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