苫小牧東部地域で産業用地を造成・分譲する第三セクター、株式会社苫東(辻泰弘社長)は19日、2025年3月期(24年度)決算を発表した。売上高は前期比3・3倍の125億2469万円、純利益は61・8%増の11億2122万円の増収増益で、いずれも1999年の同社設立以降で最高額。ソフトバンク(東京)の大型データセンター(DC)進出に加え、脱炭素関連の普及・拡大に向けた動きでは、北海道電力(札幌市)の大型案件が成約するなど、分譲面積は209・4ヘクタールで過去最高だった。
24年度の用地分譲は16件。このうち産業用地の分譲は13件、約136・5ヘクタールで、内訳は新規が7件、追加分譲が6件。この他、安平川河道内調整地事業による用地買収など3件、約72・8ヘクタールを分譲した。
このうち産業用地分譲では臨空柏原地区で、ソフトバンクに大型DC用地約70・2ヘクタールを分譲。カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ)関連では、北電が苫東厚真発電所(厚真町)に隣接する苫小牧港・東港区(市弁天)でアンモニア供給拠点化を見据え、約44・6ヘクタールを取得した。
また、千歳市に進出した次世代半導体製造ラピダス(東京)関連では、倉庫業やメンテナンス業の立地が計3件。さらに物流、リサイクルなど幅広い業種から引き合いがあり、過去最高の面積、件数を達成した。
増収は2期連続、増益は5期連続。配当は1株当たり2700円で、総額約30億3800万円を配当した。
24年度事業報告で、臨海東地区3ヘクタールの分譲用地が完成し、水道管を新設したことを説明。臨海臨港地区で、GX推進の一環となるCN事業への対応で造成工事を行い、45ヘクタールの分譲用地も完成。臨空柏原地区では20ヘクタールの造成工事に向け、実施設計業務を行った。
今年4月1日には分譲価格も値上げし、同社は「物価動向を鑑みた結果。上げたばかりでどういう影響があるかはまだ分からないが、周辺と比べてもまだ安い価格」と理解を求めている。
19日付役員人事で、岸波光弘氏を非常勤取締役に、越田雄三氏を非常勤監査役にそれぞれ新任した。