令和の運動会

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月20日

 苫小牧市内の小学校の運動会シーズンに合わせ、同僚らと手分けして運動会の調査取材をした。注目したのは、短距離走の内容。順位付けをなくした学校は4割に上り、ジェンダーへの配慮から男女混合で走る学校もあることが分かった。

 運動会の形は近年、大きく変化している。新型コロナ禍を挟み、午前中のみの開催が定着。競技数が大きく減少し、昼食の弁当もなくなった。他都市ではリレーなど、順位がつく団体競技を見合わせる学校も出ているという。

 昭和の運動会を経験した身としては少し物足りない気持ちもあるが、前例踏襲ではなく、学校行事の在り方を常に見直すことの大切さは理解している。今回の取材では、みんなが主役になれるような運動会を子どもたちが自ら考える試みを取り入れた学校があることを知り、新時代の訪れに心強さも感じた。

 しかし、他者との比較や競争心を持つのは良くないこと、という決め付けには気をつけたい。他者と自分の得意ごとの違いに目を向けることで相互理解の大切さを知り、勝ち負けによる感情の動きが次の挑戦につながることもあるはず。子どもにとって何が大切か―。その答えは、子ども自身の中にある。時代の激流の中でも、見失わずにいたい。(百)

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