高齢者緊急通報システム改良へ 人感センサーで異変を検知 苫小牧市

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  • 2025年6月20日

 苫小牧市は今年度、心臓などに病気がある高齢者らを対象とした「緊急通報システム」を改良する。緊急通報装置を貸与し、急病などの際に緊急ボタンを押すことで外部に異変を知らせる従来の仕組みに加え、人感センサーを取り入れ、一定時間動きがない場合、自動的に通報される仕組みを導入する。新システムへの切り替えは10月ごろを予定している。

 緊急通報システムは持病を抱える高齢者や障害者が、安心して自宅で暮らし続けられるよう、1993年度に導入。現在は、高齢者のみの世帯で心臓や脳血管の病気、高血圧などの慢性疾患がある人や、身体障害者1~3級の人のみの世帯を対象としている。

 現行のシステムは、装置本体やペンダント型発信器の緊急ボタンを押すと、苫小牧市消防本部通信指令センターの専用の端末に通報。担当者が装置の通話機能を使って状況を確認し、安否確認者として事前に取り決めていた「協力員」への連絡や、救急車の出動を要請するなどの対応をしている。

 新システムにおける通報先は、消防本部から事業の受託事業者が設置する「受信センター」に変更。同センターには、看護師や保健師など医療や福祉の有資格者が常駐し、24時間、365日態勢で対応に当たる。通報については緊急ボタンによる従来同様の手法に加え、日常的に使用する居間などに人感センサーを置き、一定時間動きを検知しないなどの場合は自動で同センターに異変を伝える仕組みを新たに取り入れる。

 通報を受理後、状況確認をした上、消防本部への救急車の出動要請や協力員への連絡といった対応はこれまで同様に行う。加えて、家族などと疎遠で協力員を確保できなかった人や、協力員と連絡が付かなかった人についても、同センターに置く「駆け付け員」が安否確認する。

 現行のシステムは固定電話回線に限定しているが、高齢者の中でも固定電話を持たない人が増えていることから、今回の見直しによって、携帯電話回線の使用が可能なシステムに切り替える。月に1回の電話による安否確認は、新システムでも継続する。

 市総合福祉課によると、近年の利用者数は300人台で推移。昨年度は399人で、80代以上が約8割を占めた。通報件数は2021年度39件、22年度52件、23年度77件、24年度は昨年12月末時点で38件だった。

 同課は「高齢化が進み、今後さらにニーズは高まるのでは。人感センサーといった最新機器の導入や、駆け付け員による対応など、時代に即して事業を充実させたい」と話す。

 市は委託事業者を選定する、公募型プロポーザルを実施中。10月ごろに現行システムの利用者を対象に入れ替えを始め、12月末の完全切り替えを目指す。

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