物価高が続き、今年は祭りや催事で販売される飲食物の多くが値上がりした。高いと売れにくくなるので、苫小牧市内の祭りでは、販売するお好み焼きを3種類から1種類に絞ってコストを削減し、値段を据え置いた店もあったよう。
商品の種類を減らす取り組みは、食品や日用品のメーカーでも進めている。○○風味、○○の香り…と種類を増やすと、一時的には売れるが、製造、管理コストがかさんだり、主力商品の販売数が鈍化したりするためだ。「新商品はむやみに出さない」と決めた会社もあり、値上げしても利益が出ない種類のジュースや洗剤で販売を終えた商品がある。
私たちは所得が増えないのに物価が上がると、新商品が出ても安易に手を出そうとせず、日頃から使って価値をよく知る商品を選びがちになる。この消費行動はメーカーに商品の種類を絞らせる動機の一つになりそうだが、商品開発の意欲や技術が低下するとしたら気に掛かる。
開封後の酸化速度が遅い揚げ菓子、溶けるまでの時間が長い保冷剤、使用期限の長いカビ取り剤など、欲しくてもない商品はまだある。開発する商品を一時的に売れる品から、消費者に望まれ、発売後はロングセラーになり得る品にするのも一考と思うのだが。(林)