国連の正体

  • 土曜の窓, 特集
  • 2024年9月21日
国連の正体

 今、ニューヨークから羽田に戻るJAL5便の機内で本稿を書いている。

 MIT(米マサチューセッツ工科大学)と当社は本年4月、電子伝導性炭素セメント材料「EC³」の社会実装プロジェクトをスタートさせた。前にも触れたが、コンクリート素材を蓄電体へと進化させる日米共同の技術開発プロジェクトだ。

 米東部時間16日、人類の発明品を数多く集めるMITミュージアムを会場に、MIT関係者がプロジェクトの開始式「Inauguration Ceremony」を開催してくれた。今回、その基調講演を任され、せんえつながら30分間、ハレの舞台に立つことになった。

 式典には、在ボストン日本国総領事館の箕谷優首席領事、三菱商事ボストン支店長ら日本の関係者のほか、米国の大手セメント会社タイタン、フランスの大手建設会社ブイグ、モンゴルのセメント鉱山最大手MAKなど蓄電コンクリートに興味を示す60人以上が出席してくれた。

 当社には「コンクリート以外やるな」という創業者の遺訓があることを披露したうえで、「再生可能エネルギーの本格的な普及に欠かせない蓄電池の開発に世界がしのぎを削っている。コンクリートが蓄電体へと進化する可能性を前にして、MITの研究チームの活動を傍観するという選択肢はわれわれになかった」と共同研究に踏み切った思いと決意を素直に語った。

 今回はボストン入りする前に時差調整を兼ねてニューヨークで2日過ごした。おかげで駆け足ではあったが、昔の職場やマンハッタンの変化を楽しめた。

 ホテルにチェックインした後、一目散に向かったのは、国連担当として1990年代半ばに安保理の取材に明け暮れた国連本部ビル。ブラジルの巨匠オスカー・ニーマイヤーが米国に残した唯一の作品だが、さすがに少しくたびれた印象だ。

 総会議場に入ると、ステージの背景を飾る巨大な金色の国連マークが目に飛び込み、懐かしさが込み上げた。頭によみがえったのは、95年の国連創設50周年で世界中の元首らが一堂に会した世紀の瞬間だ。

 キューバのカストロが初めて米国入りを許され、総会議場を”占拠”した。カーキの戦闘服かと思いきや、ピンストライプの濃紺の高級スーツに身を包んで登場。予定時間を超えてもマイクハナサーズの独演を繰り広げ、50周年式典の話題をすべてかっさらった。

 主賓のはずのクリントン米大統領やシラク仏大統領もなすすべがない。日本はというと、わんわんおじさんこと社会党の村山富市さん…コメントはない。

 本来は「連合国」としか訳せないUnited Nationsを日本人は国際連合と呼ぶ。連合国に木っ端みじんに粉砕された枢軸国の日本が国際社会に復帰する、その先が連合国という旧敵陣の名称ではさぞかし具合が悪かったのだろう。誤訳ではなく、超訳でごまかしたのだ。

 以来日本人は、米英仏ソ中が牛耳る戦勝国クラブであり、本質的には核の独占を固定化するための装置を、世界の国々が手を取り合って理想を追求する崇高な国際機関だと信じ続けた。国連中心外交という信仰だ。

 しかしそんなものは実はどこにもない。拒否権を持つ常任理事国のロシアが他国を軍事侵攻し、同じく常任理事国のチャイナが台湾統一を力で実現する意思を隠さない。戦勝国の合意に基づく国連の安全保障システムはとっくについえ、世界は戦後の枠組みを超えた新たな国際の平和と安全に関するメカニズムを必要としている。

 日本の平和憲法はいざというとき国連軍が組織されるという国連憲章の、決して果たされることのない崇高な理想に基づいていることを想起すべきだ。27日に迫った自民党総裁選。今、政治に必要なのは第二の◯泉劇場ではない。国家の自存自立を懸けた本物の政策論争である。

 (會澤高圧コンクリート社長)

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