苫小牧アイスホッケー連盟に現役中学生のレフェリーが誕生した。先月、アイスホッケー小学生のREリーグでデビューしたのは、苫小牧ウトナイ中3年の兜森蒼磨(かぶともり・あおま)。アイスホッケー界で、中学生のレフェリー登録は全国初だ。慢性的な人材不足に悩む中、今後の活躍に大きな期待が寄せられている。
兜森は幼稚園のころから現在に至るまでプレーヤーとして競技に励んでいる。自身が出場する中学生の試合や、アジアリーグのような激しい展開の中でも笛を吹いて試合をコントロールする先輩レフェリーたちの姿を見て、興味を持つようになった。「試合を公平、公正に保つ大切なポジション。ミスがなく、ある意味『機械』のような正確なレフェリーを目指したい」と意気込む。
8月25日のデビュー戦は、試合前に見せていたあどけない笑顔は競技開始のフェースオフと同時に消え、展開を真剣な表情で観察し、パックを追っていた。試合後、兜森は「レフェリーは一番長く滞氷し、リンクの端から端まで往復で走ることも多い。緊張もあって疲れました」とほほ笑んだ。
今後は小学生リーグのほか、原則ボディーチェックを禁止とし、幅広い愛好者が参加するビアリーグで経験を積みながら、ステップアップしつつ、選手としても競技を続ける。選手とレフェリーの「二刀流」で高みを目指していく。
同連盟のレフェリー登録者は約20人。金子昭博委員長は「彼が感じるレフェリーの魅力を発信してもらいたいし、これをきっかけに興味を持つ人が増えてもらえれば」と語り、「早い段階から経験を重ねることで、五輪や世界選手権でジャッジするチャンスも広がる。大舞台を目指して頑張ってもらいたい」と期待を寄せる。