アイスホッケーアジアリーグ2023―24のレギュラーシーズンで、レッドイーグルス北海道(REH)のホーム会場への平均来場者数は1666人だった。03年のアジアリーグ発足以来、歴代最多を更新した。田中強チーフマネジャー(MGR)は「これまで取り組んできたことが実ってきた」と成果をかみしめる。
REHによると、リーグ発足時の初シーズンは1200人台。王子製紙の社内で試合の招待券が配布されていたことなどもあって、プレーオフで初優勝した07―08シーズンには平均来場者数がリーグ加盟後最高の1498人、翌シーズンも同数で勢いを継続した。
しかし翌年、招待券の配布がなくなると1038人と一気に下落。その後も集客に苦戦し、19―20シーズンまで1000~1200人台の範囲で増減を繰り返した。
さらにチームがクラブ化した21―22シーズンは、新型コロナウイルスによる感染症の影響が直撃。リーグ開幕前のプレシーズンの試合は中止になり、会場ではマスク着用、ブース設置の禁止、観覧席を1席ずつ空けるなどの条件により、850人にとどまった。
それでも選手やスタッフは地道に地域の保育施設や企業への訪問を継続的に行い、チームと競技への関心を高める努力を続けた。田中チーフMGRは「地域貢献などを通してできたつながりが、来場者増につながった」と振り返る。
今季は、アジアリーグで最多だった平均来場者数1480人超えを目指そう―と、1500人を目標値に初めて設定。開幕戦と新年明け最初のホーム戦は小中学生の親子、高校生ペアを対象に無料招待するとともに試合後もPRを続け、リピーターへとつなげた。
また、誘い合いながら会場に足を運んでくれる20~30代の女性を集客のターゲットの中心に置いたことも奏功した。結果として「ここまで伸びると思ってはいなかったが、目標値を設定して計画的に取り組み、そこに向けて何をするかを逆算した」ことを要因に挙げた。
1月6日のホーム戦では先着2000人にオリジナルユニホームTシャツを配布し、今季最高の2836人を記録した。最終2連戦には応援グッズのハリセンを来場者にプレゼントした。拮抗(きっこう)した試合展開の中、ハリセンの音が場内に響き渡って選手を後押しするなど、会場の一体感も生んだ。
田中MGRは「想像以上の人たちが来てくれて、これまでの取り組みが花開いたと感じた。会場の進行や照明、音楽などの演出とわれわれの施策がうまくかみ合った相乗効果だと思う。続けてくれているボランティアの人たちも大変なことはあったと思うが、継続してくれてありがたい」と話す。
他地域から苫小牧へ人を呼び込み続けるREH。「知名度の高いこと、膨大なお金をかけているわけではない中で来た人が楽しんでくれたり、グッズを購入してくれること。(観客の)チームのユニホーム着用率も今年は高い。一緒になって楽しんだり、盛り上がってくれて、ありがたい―という言葉が全て」と語った。