大谷、二刀流存分に

  • スポーツ, 野球
  • 2023年3月10日

 1球ごとにスタンドがざわめき、1本の安打に大歓声が注がれる。米大リーグのポストシーズンのような特別な雰囲気の中、初戦の先発マウンドを託された大谷が大役を全うした。

 緊張もあってか、抜ける球がやや多かったものの、投げっぷりには余裕が漂っていた。「まずはゼロで抑えるつもりだった。比較的ストライク先行でどの球種も良かった」

 一回はスライダーを軸に3人で打ち取る。二回は右打者に対してこの日最速の160キロを投じた後、サインに首を振って141キロの内角スライダーで見逃し三振。その後も、明らかに力の差がある中国打線にまともなスイングをさせず、49球で4回無失点というほぼ完璧な投球だった。

 指名打者としては3番に入り、走者を2人置いて迎えた四回にボール気味の低めの球を打って左中間フェンス直撃の2点二塁打で期待に応えた。「あとちょっとで本塁打だったので、もうひと伸びあればよかった」と笑顔。さらに10日の韓国戦へ向け、「ダルビッシュさんを何とか援護できるようにしたい」と話した。

 何が起こるか分からないのが国際大会。好機であと一押しをできない攻撃が何度もあり、流れが悪くなりそうなところもあった。けがで辞退した鈴木(カブス)のユニホームが掛けられたベンチの中からチームメートを鼓舞する姿も含め、初陣の侍ジャパンを勝利へ導いたのは間違いなく大谷だった。

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