自主解散を否決 白老町議会 町長、町議の同日選挙は見送り 町民から不満の声も

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  • 2023年2月7日
自主解散に関する決議を無記名投票で行った白老町議会

 白老町議会が6日に開いた定例会2月会議では、町長辞任に伴う町長選挙(2月28日告示、3月5日投開票)と町議会議員選挙を同日程で行うため、町議会の自主解散を求めた議員提出の決議案について、各会派の議員がさまざまな主張を繰り広げた。全町議による採決の結果、決議案は否決されたが、無記名投票で出た結果に町民からは疑問の声も聞かれた。

 決議案は、今春の道議選胆振選挙区(定数1)に出馬する戸田安彦氏の町長辞任で、日程のずれる町長選と町議選を同日にするため議会を自主解散すべきという内容。特例法に基づくと、自主解散には全町議14人中12人以上の賛成が必要で、採決の結果、10人にとどまったことから否決された。

 本会議の質疑では、貮又聖規氏(みらい)が決議案を提出した小西秀延氏(いぶき)に対し、同日選挙自体に賛意を示しながらも「法令に基づく議会の議論が不足している。経費負担軽減以外の点でも十分議論を進めたのか」とただし、小西氏は「昨年12月の会派代表者会議から2カ月間、十分議論できた」とした。前田博之氏(きずな)は「全町議で議論する機会はなかった。議会での十分な検証、議論が不可欠であり、決議は拙速」と指摘。小西氏は「町民の暮らしを第一義に考えた」と議論を尽くした認識を貫いた。

 続く討論では、再び前田氏が自主解散反対の立場から「極端に選挙期間が短く、現職議員に有利な選挙戦になる」とし、「議論は3月の町長選、10月の町議選の後、議員定数や報酬の見直しの議論と共に慎重に進めていくべき」と述べた。

 これに対し氏家裕治氏(公明)は「同日選は町民の利便性と関心を高め、投票率向上につながる。町職員の労力も軽減できる」と同日選挙のメリットを強調。「今回、実現できれば4年後の統一地方選挙に合わせ、効率の良い選挙を見据えられる」と主張した。

 採決は、松田謙吾議長の議事整理権により無記名投票とされた。大渕紀夫氏(共産)が「なぜ記名投票としないのか」とただすと、「挙手や起立より無記名投票がふさわしい。議事整理権で決めたことで異議は認めない」とし、記名にしない理由には触れなかった。

 松田議長は議会後、否決の結果について「町長不在の中、議会も解散すれば町政に空白を生む。慎重に議論することが町民のためであり議会のあるべき姿」と述べた。決議案の否決に伴い、複数の町民から提出されていた同日選挙を求める陳情は「みなし不採択」となった。

 傍聴席で議論や採決を見守った町民は約30人。陳情書に名を連ねた町竹浦の鈴木靖男さん(81)は「否決の結果には不満しかない。(反対した町議らは)町民の暮らしの実情が見えていない」と厳しい口調で語った。60代女性は賛成多数でも否決に至った状況に驚き、「3000人の署名が必要と主張した議員もいたが、町議10人の賛成は町民3000人の意思にならないのか」と疑問を投げ掛けた。

 一方、自営業の60代男性は「負担軽減の議論ありきで自主解散を求める動きが急過ぎ、心配していた。否決は妥当」と理解を示した。

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