組織再編、防止マニュアルも 白老町、「きたこぶし」虐待問題を町議会に報告  不適切な言動常態化

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2022年12月13日

 白老町は12日、町立国保病院併設の介護老人保健施設「きたこぶし」で起きた入所者への虐待問題について、町議会全員協議会で報告した。戸田安彦町長や村上弘光事務長らが発生の経過や今後の対策を説明。議員らは、町立病院を含めた組織の改善や第三者を交えたチェック機能の必要性などを求めた。

 戸田町長は「町民の生命と健康を守る施設で行政指導を受ける事態に至ったことは誠に残念。信頼を損なう事態となり、心からおわびする」と陳謝した。再発防止を徹底し、信頼回復に努めると約束した上で「施設設置者、任命権者としての責任を重く受け止める」とし、自らの給与の減額について16日の定例町議会で提案することを明らかにした。

 また、村上事務長は、今月6日付で道から「介護保険法の規定に基づいた道条例を順守していない」として勧告を受け、改善状況の報告書提出を求められたことも報告。虐待が起きた要因として▽組織の指揮命令・役割分担が不明確で虐待防止体制が整備されていなかった▽施設職員に高齢者虐待に関する知識が不足していた▽施設内で乱暴な言葉や不適切な言葉・介護が常態化していた―ことなどを挙げた。

 今後の対策として、組織体制の再編成、施設独自の虐待防止マニュアル策定と虐待防止委員会の設立▽職員研修の定期的な開催と参加徹底―を示し、「マニュアル作りと職員研修の準備を進めている」と説明した。

 議員からは「(不適切な言動などが)常態化していたというならば、(問題に)すぐ気付けたのではないか」、「介護記録に虐待の事実が記されていたのに、なぜ把握できなかったのか」といった質問が相次ぎ、村上事務長は「介護記録は施設長が月に1度点検していたが、複数人で精査すべきだった」と答えた。

 古俣博之副町長は、虐待問題の背景について「組織の硬直した構造、まひ状態があり、内部で自浄作用が働かなかったのでは」と推測。「(今回の虐待問題は)病院を含む全体の問題として捉えるべき」との議員の指摘に対し、「運営のあり方や介護に特化した職員配置を考える必要がある」と述べた。

 さらに、虐待防止委員会に関して議員から「第三者を交えて組織すべきだ」との意見が上がり、村上事務長は「(委員会は)再発防止の核となる組織。第三者の受け入れも考えたい」と答弁。「施設内に防犯カメラを設置し、実態把握や早期発見につなげるべきだ」との提案に対しては、「検討していく」と述べた。

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