日高管内水産振興議員連盟主催のシンポジウム「海水温上昇にともなう日高・三石昆布の未来を考える」がこのほど、新ひだか町三石本町の町総合町民センターはまなすホールで開かれた。約80人が参加し、基調講演とパネルディスカッションで日高の浜の恵みのコンブをどう守るかを考えた。
日高町村会、日高町村議会議長会、日高総合開発期成会、えりも漁協、日高中央漁協、ひだか漁協後援。
基調講演では、地球温暖化で2090年までに道内のコンブが著しく減少する可能性を予測した研究グループの四ツ倉典滋北海道大学教授が、コンブ減少のメカニズムや打開策について語った。
国産コンブの約90%は道内産で、このうち日高は約30%を占めている。四ツ倉教授は、「近年、日高昆布(ミツイシコンブ)の漁獲量は減少傾向にあり、将来の分布域は気候変動で大きく変化することが予想されている」とした上で、日高昆布の形態的特徴や分布予測、生育密度と水温の関係などを解説。漁獲量を維持する対策として(1)海洋環境の改善(2)将来の分布予測を考慮した種の利用検討と新産業種の探索(3)コンブの生長特性の改良(育種)(4)環境変化の影響を受けにくいコンブ生産への転換―などを挙げた。
さらに「日本の食文化には欠かせない」「日高地方にしか生えておらず天然漁獲が主流」といった強みを踏まえ、「つくり育てるコンブ漁業への転換(養殖の可能性の探索)などの検討が必要ではないか」との見解を示した。
このほか、大西正紀えりも町長や昆布の生産者、加工業者に四ツ倉教授を交え、日高・三石昆布の未来を考える座談会も開かれた。