登別市ののぼりべつクマ牧場はこのほど、環境エンリッチメント(飼育動物の生活環境を豊かにする工夫や試み)の推進を目的とした「エンリッチメント大賞2022」(NPO法人市民ZOOネットワーク主催)で、大賞に次ぐ努力賞を受賞した。動物福祉向上を目指す飼育担当者らの地道な取り組みが評価された。
同大賞は、国内の動物園や水族館を対象に取り組みを募集し、有識者5人が選定している。今年度は32件の応募があり、書類と追加調査で審査が行われた。
同クマ牧場が受賞したのは「持続可能なエンリッチメントの取り組み」。同牧場は21年、動物の福祉向上を目的とした「2023年ビジョン」を公表し(1)23年まで毎日、飼育全頭の行動記録の2年分の蓄積と解析(2)全頭の1割以上での無麻酔採血の確立と全頭の眼科検診の実施(3)牧場の動物福祉関連情報のデータベース作成―を掲げて着手。すでに達成の見通しがついている。
さらに、採食時間を延ばしてストレス軽減を図ろうと、消防ホースなどの廃材を利用した浮き球やコングに餌を入れる方法で全71頭に給餌を試みたり、異性を探す繁殖期のストレス行動を軽減するために異性のふんや毛を利用したり、北海道大学との共同研究で繁殖頭数の適正化に向けた科学的な繁殖管理を行ったりしていることが評価された。
同牧場動物課の担当者は「長年続けてきたことが評価されてうれしい。今後も他の動物園によい影響を与えられる取り組みを進めていく」と喜んでいる。
大賞は、埼玉県こども動物自然公園=東松山市=。表彰式は12月3日、東京都内で予定されている。