駒大苫小牧高校女子硬式野球部の内野手野呂萌々子(3年)=東京出身=が、3日に東京ドームで行われた「SATO presents 高校野球女子選抜vsイチロー選抜KOBE CHIBEN」に高校野球女子選抜の一員として出場した。日米のプロ野球界で活躍した不世出の天才イチローさん(49)との対決が実現。「貴重な経験になった。夢のような空間にいられて幸せだった」と相好を崩した。
同イベントは女子野球の振興、発展を願ってイチローさん=米大リーグマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が現役引退後に結成したアマチュアチームKOBE CHIBENと女子選抜が対決する機会。2年連続の開催で、今年の女子選抜は全国18校から20人が選出された。
KOBEの投手はイチローさん。さらに今回は2021年に現役引退した元プロ野球選手の松坂大輔さん(42)も初参加した。試合は女子選抜が初回に先制するも、その後はKOBEが地力を発揮し7―1で逆転勝ちした。
野呂は六回の守備から途中出場。イチローさんとの初対決は七回だった。注目の1球目は球速130キロのストレート。12年の競技人生で「一度も経験したことがない」速球に目を丸くした。結果は三振。憧れの存在と1対1で対峙(たいじ)した緊張感はもとより、約1万6000人が詰め掛けた球場の雰囲気にも圧倒された。
1死二塁の好機で回ってきた最終九回の打席は「初球から積極的にいこう」と決めていた。内角の直球を捉えたかに見えたが、惜しくもサードフライ。「もう1球待っても良かったかな」とはにかんだ。
夢の時間はこれで終わらなかった。試合後、イチローさんが選抜チームに駆け寄り野球談議に花を咲かせた。「現役を終えて年を重ねても、日々限界を迎えていたい」。自己研さんを欠かさないレジェンドの言葉に深く感銘を受けた。
「なぁ51番」。イチローさんから不意に声を掛けられる瞬間もあった。同氏が一躍スター背番号にした51は、野呂も中学女子軟式チーム三鷹クラブW時代から背負ってきた。同チーム入団時に50番台の背番号に空きがあり「イチローの番号だね」と父と相談して決めた。
愛着が湧き高校でも51を背負い、チームの頼れるリードオフマンとして攻守にけん引してきた。「同じ背番号なことを認識してくれていた。とても気さくな方ですごく格好良かった」。その背番号に快くサインも書いてもらえた。掛け替えのない、一生の宝物になった。