仙台藩白老元陣屋資料館友の会は14日、白老元陣屋跡に残されたアカマツの保全費用として6万円を町教育委員会に寄付した。
アカマツは、1856年に白老元陣屋を築いた仙台藩が地元から苗を持ち込み、海岸近くまで数百本を植えたとされる。記録によると、1930年に11本残っていたが、54年の洞爺丸台風で7本が倒壊。平成に入ってさらに3本が病害や災害で倒れ、現在残るのは高さ約20メートル、幹回り約2・8メートルの1本のみとなった。
同資料館でボランティア解説などを行っている友の会は、このアカマツを後世に残そうと、収益の一部が保全費用となるせんべい菓子「赤松」(1箱15個入り900円)を2007年から販売。11年と17年に収益を工事費の一部に寄付し、3回目の今回で累計56万円になった。今年度の総事業費は27万2800円。
町教委を訪れた川西政幸会長は「アカマツは陣屋の生き証人。剪定(せんてい)や支柱結束、施肥などに役立ててほしい」と話した。安藤尚志教育長は北海道遺産認定にも触れ「町民だけでなく道民に親しまれる陣屋を目指したい。アカマツを含む史跡保存に力を入れていくことは後世への務めでもある」と述べた。
剪定した枝葉は、国立研究開発法人森林総合研究所林木育種センター(江別市)に運び、後継アカマツの培養を依頼することにしている。同センターの増殖技術で苗木を作り、3年ほどかけて育成後、白老町に戻す計画だ。