【オークランド時事】米大リーグ、エンゼルスの大谷は5日、敵地オークランドで行われたアスレチックスとのレギュラーシーズン最終戦に先発投手兼3番指名打者で出場し、5回1安打1失点で9敗目(15勝)を喫した。打者としては一回に右前打を放って4打数1安打。今季34本塁打、95打点で終了した。
大谷は一回を投げ終えた時点で、メジャー5年目で初めてシーズンの規定投球回(162)に到達した。同一年に規定の投球回数と打席数をクリアするのは、ワールドシリーズが始まった1903年以降で大リーグ初の快挙。
今季の開幕投手を務めた大谷は、シーズンを通して投打で躍動。8月には初めて10勝に到達し、1918年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来、104年ぶりに同一シーズンの2桁勝利、2桁本塁打を達成した。
エンゼルスの大谷が同じ年に投打で規定到達の快挙を成し遂げた。体力面、調整法などを考えれば、特に投手として規定投球回を満たすのは容易でないと思われたが、見事にやってのけた。
「長い回を投げるのが一つの仕事。100球くらいはどんな状態でもいかないと」と話してきた大谷。シーズンを通じ、先発の役割を全うした。「安定して、健康で投げられている」と言う通り、けがの不安なく過ごせたことも大きかった。
多くの球団がローテーションを5人で回すのに対し、エンゼルスの先発は基本的に6人。大谷は投打同時出場も考慮され、前半戦は主に中6日と登板間隔が空いた。その結果、投球回数は思うように増えなかった。後半戦に入って中5日中心に変わり、好投を続けたこともあって偉業へ前進。8月から使い始めたツーシームは打者の脅威となり、イニング数を稼ぐのに効果的だった。
9月10日のアストロズ戦では右手中指にまめができたと感じると、無理せず5回1失点で降板した。「深刻になる前に代わった。次に響く前に降りた」。離脱することなく、同17日のマリナーズ戦でも先発。指に負担がかかる速球の多投を避けながら、7回無失点で勝利に導いた。同29日のアスレチックス戦は八回2死まで無安打と、ノーヒットノーランを予感させる快投。シーズン大詰めでも頼もしさは失わなかった。
二刀流で出場を続けるという前例のない挑戦で誰もが驚く活躍を見せ、今年もア・リーグ最優秀選手(MVP)の有力候補に挙がっている。「投打のバランスを含め、去年以上のシーズンを送れているのは自信になる。去年良かっただけに、今年が大事だと思っていた。1年間、安定して続けられたのは良いところかなと思う」。MVPに輝いた昨季以上に手応えを感じている。