草の根教育実習生受け入れ 安平追分中に北翔大の2人

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  • 2022年10月6日

 安平町の追分中学校(渡辺知峰校長)は、へき地・小規模校で行う道教育委員会の「草の根教育実習」の実習生として、道内の大学生2人を受け入れた。学生は3、4両日、授業や部活動、ホームルームなどを通じて生徒と交流。仕事へのやりがいを実感し、教員への志を強くした。

 実習生は、北翔大学生涯スポーツ学部3年の徳山遥さん(20)と長谷川朱梨さん(20)。共に保健体育の教員を目指し、来年度の教育実習の前に現場の雰囲気を体験しようと、道教委の実習に応募した。

 両日は授業見学や指導案の作成に励み、2日目は実際にチーム・ティーチングでバレーボールの授業を担当した。大学のバレーボール部に所属していた経験から、部活動にも参加して部員と交流を深めた。

 徳山さんは2年生の授業を受け持ち、「生徒が意欲的に取り組んでくれてスムーズにできた」と振り返る。4日は北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、教員同士の連携や生徒への心のケアなど緊急時の教育現場を目の当たりにし、「生徒に不安を与えない接し方など、学んだことを今後に生かしたい」と語る。

 1年生の授業を担当した長谷川さんは「体がよく動く子が多く、どんな教育メニューを取り入れていいか悩んだが、難しい内容でも少しアドバイスをするだけでできるようになり、目覚ましい成長を見ることができた」と目を輝かせる。

 また、小規模校ならではの親密な生徒同士の関係や教員との距離、生徒個々への手厚い対応などを肌で感じた。徳山さんは「少ないからこそすぐに顔を覚えられ、教えやすい」と言い、長谷川さんも「顔がよく見え、コミュニケーションが取りやすい」と好感触を得たよう。何より「異学年が仲良く話をしていたのが印象的だった」と口をそろえた。

 同校は、教員志望者が地方の学校の取り組みを知るとともに、学校が活気づき、子どもらにもいい刺激を与える機会になると、昨年度から草の根教育実習生の受け入れを実施。渡辺校長は「少し年上の存在から、生徒たちは近未来の自分の姿を描くことができ、目標も定めやすくなる」と期待を語った。

  草の根教育実習 教員を目指す学生がへき地や小規模校で教育実習などを体験することで、教職へのやりがいや地域の魅力を再発見してもらう道教育委員会の取り組み。教員就職率のアップと、地域での新たな関係人口の創出を目的とする。大学の単位はなく、希望者のみ参加できる。実習日数は2~5日間と通常の実習より短く、へき地複式教育を学ぶための観察実習、可能な範囲でのチーム・ティーチングや教科指導、地域理解につながる行事への参加などを組む。道教委によると、2020年度は北海道教育大学の学生が延べ35人、昨年度は121人が道内各地で実習した。

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