ヤクルトが25日、高い得点力を発揮して2年連続9度目の優勝を果たした。優勝マジック「2」で迎えた神宮球場で、2位DeNAに1―0でサヨナラ勝ちし、137試合目で決めた。高津臣吾監督は就任3年目で、球団史上2度目となるリーグ連覇に導いた。
打線は昨季本塁打王の村上がさらなる躍進を遂げ、王貞治(巨人)らに並ぶシーズン55本塁打をマーク。山田や塩見ら長打力のある打者を中心に得点を重ねた。投手陣は奥川が長期離脱したが、高橋が先発陣の一角に成長。清水、木沢、田口ら救援陣や、抑えのマクガフも安定感があった。
交流戦を制し、6月は球団記録に並ぶ月間19勝。7月2日に優勝マジック「53」を点灯させて独走態勢を築いた。その後、主力が新型コロナウイルスに感染した影響で、やや失速したものの最大28あった貯金も生かして逃げ切った。
チーム一丸の優勝
ヤクルトがチーム一丸となり、劇的なサヨナラ勝ちで優勝を決めた。本拠地の神宮でDeNAとの直接対決を制しての戴冠。選手らはグラウンドで抱き合って至福の時間を味わい、胴上げで7度宙を舞った高津監督は「勝つことを目標にスタートし、連覇という結果がついてきて喜んでいる」。恒例のビールかけも今年は復活した。
緊迫した投手戦。小川は球数がかさみながらも粘り強く6回無失点と好投。「とにかく攻めていくということを中村と話して投げた」。石山、清水、マクガフとつないで零封した。
苦しい展開を耐え抜いて九回、決着の時は訪れた。1死二塁の好機で、ドラフト2位新人の丸山和に打順が回った。エスコバーの2球目を捉え、優勝を決める二塁打を放った。
オフに大きな補強はなかったものの、既存戦力が成長した。日本選手最多に並ぶ55本塁打を放った村上を筆頭に、自己最多の8勝を挙げた高橋、遊撃でレギュラーをつかんだ長岡も躍進。塩見や山崎も本塁打や盗塁などでキャリアハイをマークするなど、個々の上積みが大きかった。丸山和の殊勲打も、若手を積極的に起用するヤクルトらしさを象徴するようだった。
高津監督は抑え投手として、1993年の連覇を経験した。「受け継いできたものは、伸び伸びプレーすること、勉強すること。アップデートしていくことは、一歩先をいくこと」。チームの黄金期を知る名将が、新時代を切り開いた。