厚真町は、幅広い人材を議員として確保し、近年の議員の成り手不足を解消するため、来年5月の町議の改選後から議員報酬月額を引き上げることを決めた。報酬改定は1997年6月以来25年ぶり。14日に開かれた町議会定例会で条例の一部改正案が追加議案として提出され、原案通り可決された。
町によると、現在の報酬月額は議長28万1000円、副議長22万3000円、常任・議運委員長20万円、議員18万円。改定報酬月額は道内財政力指数と同規模自治体5町の報酬平均額に基づいて算出。増加率は議長6・8%、副議長7・6%、委員長10%、議員11・1%となる。
97年の改定以降、議員の成り手不足は一つの課題となっており、前回2019年に行われた町議選では立候補者が定数11を下回った。
働き盛りの世代には「議員に興味がある」「挑戦してみたい」という思いはあるが、「都市のようにそれだけで生活していける報酬ではない」「家族の理解が得られない」と立候補をちゅうちょする声が聞かれた。議会活動に時間を費やすため、勤務会社と折り合いがつかず、出馬を断念する場合もあった。
今回の改定については、胆振東部地震からの復旧復興や新型コロナウイルス感染症の影響で経済情勢が厳しくなるなど、地方が抱えるまちづくりの課題に対し、議員には町民の代表としてリーダーシップを発揮し、行政と町民をつなぐ役割などが求められる―と町特別報酬等審議会が判断。今月7日付で宮坂尚市朗町長に答申していた。
ある議員は「これで(課題)解消とはならないが、出馬を考えている人が意欲を高めることにつながれば」と話している。