村上が55号を放ち、王貞治さん(82)=現ソフトバンク球団会長=が1964年にマークした日本選手最多に並んだ。村上の姿を「世界の本塁打王」はどう見ているのか。
「5年目でここまで来た選手はいない」。22歳で達成した村上の実力を、王さんも称賛する。「どっしりと構えていて、隙がない。彼の本塁打は日本で一番の強烈さを持っている」。体勢を崩されてもスタンドまで運ぶ対応力にも注目し、その打撃スタイルを「ボールとバットの芯を結び、ボールが来たところにまた押し返していく感じ」と表現する。「だから打球が落ちにくい。彼のやっていることを僕は支持したい」
今は投手の分業制が確立し、多くの投手と対戦しなければならない。王さんは「われわれよりも難しい時代」とみており、「その中で本塁打を量産している。彼の技術が今の若い選手の中で、いかにずばぬけているかということ」と強調する。
2013年にバレンティン(ヤクルト)がマークした日本記録の60号到達も「夢ではない」と言う。「50本、60本を何度も打つことを期待している。誰も歩んだことのないところを彼は一人で歩んでいくのだから、常に自分が切り開いていかないといけない。でも彼には十分できる」。成長途上にある若きスラッガーに、王さんもかつての自分を重ねて熱視線を送る。