星野リゾート(本社長野県軽井沢町、星野佳路社長)が運営する白老町若草町のホテル「界ポロト」が、英国の旅行専門誌が選ぶ「2022年世界のベストホテル42」に選ばれ、ベストデザイン賞を受賞した。国内のホテルでは唯一で、印象的な宿泊体験ができるホテルと紹介されている。
世界中に読者がいる隔月刊誌「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー」で年1回、旅行ライターや編集者が世界のベストホテルを選んでいる。ロマンチック、雪景色が美しい、魅力的な美食体験ができる―など14の部門を設け、それぞれの上位3施設、計42施設を掲載している。
デザイン部門の1位に輝いた界ポロトには、円錐状の屋根を持つ浴場「△湯(さんかくのゆ)」があり、丸太を組んだ三脚構造で屋根を支えるアイヌ建築「ケトゥンニ」を基本構造としていることなどが評価された。同誌は「屋根の開口部から日差しが差し込む中、(モール泉の)黒々とした癒やしの湯に漬かることができる」と評している。
8月に同誌から「△湯」の写真掲載の許可を求めるメールがあり、同社は今月1日、ホームページで受賞の事実を知ったという。ホテルのスタッフは喜びに湧き、総支配人の遠藤美里氏は「大変光栄。界は、その地の文化を大切にする温泉旅館ブランドで、改めて誇りに感じる」と語った。
デザイン部門の次席には、ザンビアの「チサ・ブサンガ・キャンプ」、フランスの「メイボーン・リビィエラ」の2施設が選ばれた。
界ポロトは今年1月開業。同社が全国展開する温泉旅館ブランド「界」シリーズの国内で19番目、道内では唯一の施設。設計はアイヌ文化を尊重し、多文化共生を体験できることを目指し、建築家の中村拓志(ひろし)氏が手掛けた。