胆振東部地震から丸4年を迎えた6日、被災の大きかった厚真町では上厚真小学校の児童たちが町浜厚真の海岸で堆積物調査を体験し、むかわ町の鵡川中学校の生徒たちは東日本大震災被災者の体験談を聞き、津波災害に理解を深めた。高波が発生する仕組みや津波が人々の暮らしに及ぼす影響について学び、防災意識を高めた。
上厚真小学校(圓山芳史校長)では5年生8人が、西村裕一北海道大学准教授(自然災害科学)らの指導を受け、海岸で津波堆積物調査を体験した。約400年前に大津波に襲われた痕跡が見つかり、児童たちは津波災害に備える大切さを学んだ。
防災学習の一環で、町教育委員会が今春から町内で津波堆積物を調査していた西村准教授と酪農学園大学の千葉崇講師に協力を依頼した。
上厚真小は2018年の胆振東部地震をきっかけに、翌年から全児童対象の防災学習を開始。地震による森林被害の現場を見学したり、地域住民と防災マップを作ったりと、学年別にテーマを設定して取り組んできた。
津波について学ぶのは初めてで、児童たちは西村准教授らの説明を聞きながら、長さ約1メートルの専用器具で地層の採掘に挑戦。海岸から約500メートル離れた草地の3カ所で地層を抜き取ると、すべての場所に津波の痕跡とみられる砂の層が確認された。「砂で広範囲が覆われたとしたら、何が起きたのか」という西村准教授の問い掛けで、津波の可能性に気付いた児童たち。中居侑大君(11)は「こんな高い所まで昔、津波が来たなんて知らなかった。津波にも注意したいと思った」と話していた。
鵡川中学校(阿部隆之校長)では、震災体験の記憶を次世代につなげるため、防災ウイーク「むかわの記憶」と題した集会を開き、生徒が東日本大震災の経験者からオンラインで体験談を聞いた。
11年3月の東日本大震災時、中学3年生だった岩手県釜石市の菊池のどかさんが「15歳の私にできること」をテーマに講演。地震発生時、学校にいた菊池さんは津波を目にし「故郷と思っていた所が一瞬にして消えた感覚だった」と当時を回顧した。
隣にある小学校の児童と一緒に避難したが、「避難者の渋滞ができ、パニックになって走って逃げることが難しい状況だった」と振り返った。
また、中学に入学した頃は防災について無関心だったが、2年生の時に津波注意報で避難した経験があったことから徐々に気持ちが変わったと説明。家族や先生、友人、地域住民と防災マップの作成などを通して意見交換する大切さを説き、「その時は分からなくても、いつか必ず役に立つ。学んだことを自分だけではなく、家族や友達にも伝えると大切な人を危険から守ることにつながる」と呼び掛けた。
3年生の吉村駆流さん(15)は「最近、引っ越しをして避難所の確認や食料の備蓄などをしたが、事前の準備がいかに大切か改めて分かった。家族や友達と災害についてたくさん話したり、考えたりすることが必要だと思った」と話していた。