厚真、安平、むかわの3町に未曽有の被害をもたらした胆振東部地震から6日で4年が経過した。道路や河川のインフラ整備は完了に近づいている。しかし、山腹崩壊の修復、宅地耐震化、まちなかの再生などでは、町ごとに被災の傷跡が見え隠れしている。
3町と道が進める河川や道路を中心とした復旧工事は、7月末時点で約9割終えた。厚真町では、工事を要した箇所593件に対し、501件を完了(完成率84・5%)。幌内地区の厚真ダム、日高幌内川の整備も来年度までには終える予定で工事が進んでいる。
隣のむかわ町では、胆振東部消防組合消防署鵡川支署の新庁舎がこの春、移転改築し、新たな防災拠点が誕生した。安平町では、復旧の目玉として位置付ける早来中学校の再建が大詰めを迎え、早来小学校と一体化してまちの復興のシンボルとする「早来学園」の校舎が10月にいよいよ完成する。
一方で、時間がかかっているのが山腹崩壊を防ぐための治山事業。厚真町では7月末時点で4割弱の完成率にとどまっているほか、当初2023年度までに終わる予定だった新町、豊沢両地区の宅地耐震化が27年度まで延長された。30億円ほどを見積もった事業費は資材高騰などで60億円ほどに膨らむ見通しで、宮坂尚市朗町長は「新たな課題として、国や道に支援を求める」考え。
まちなか再生については、安平町では高齢化が進んで店を閉める事業者が多く、空き地にトレーラーハウスを置きチャレンジショップなどを展開している。むかわ町では震災被害の大きかった鵡川、穂別両地区で空洞化が依然として続いており、折り返しに入った復興計画と第2次まちづくり計画、まちなか再生基本計画を組み合わせながら事業を展開していくが、新たなにぎわいの創出にはまだ時間がかかりそうだ。