登別市登別東町の水族館、登別マリンパークニクスはこのほど、世界的に前例の少ない高齢キングペンギンの白内障手術に成功し、順調に視力が回復していることを発表した。
白内障は高齢になるとなりがちな眼病の一つで、視界が曇り、見えづらくなる病気。動物も老化とともに患うことがある。手術を受けたキングペンギンは、推定27歳の雄。人間の寿命に換算すると80歳を超えるという。
同館によると、2019年7月時点で白内障が疑われ、21年12月に視力消失を確認。ひかり町動物眼科(江別市)の前原誠也医師が今年4月に検診して視力回復の可能性があるとし、7月8日に酪農学園大学付属動物医療センター(同)で手術した。その後、8月2日には術後の眼球炎が消え、左右とも周囲に反応するまでに回復。手術前は展示場の隅でほとんど動かず、餌もくちばしに当たらないと認識できない状況だったが、活発に移動し、食べる餌の量も増えたという。
キングペンギンの白内障手術の成功例は昨年、カナダのカルガリー動物園で飼育されている29歳の個体などに見られるが、国内での事例は極めて少ない。
同館の桒山(くわやま)未来館長は手術の成功について「今後、同じような症例の個体にとって希望となる」と期待。「来年は元気な姿をお披露目できるかもしれないくらい順調に回復している」と話し、今後も生活の質向上を目指し、ケアを続けていくという。