白老町高砂町の白老生活館の利用が31日までと迫った。老朽化が進む同館と大町の白老中央生活館を統合し、2024年度に利用開始予定の多機能型生活館に建て替える。町によると、9月以降に解体に向けた準備に入り、10月以降に工事を始め、今年度中に解体する見通し。
同館(木造平屋建て、面積293平方メートル)は1962年に開館し、町内会やアイヌ関係団体の集会、文化サークルの活動に利用されてきた。79年に改築してから43年が経過している。
町は人口動向や施設の利用状況、アイヌ文化振興といったさまざまな観点から2施設を統合し、伝統文化の発信と地域交流の機能を併せ持つ新しい生活館の整備を進めている。
新施設の建設予定地は、同館東側の町有地。木造平屋建て、面積600平方メートルを想定し、現施設の2倍の大きさとなる見通し。23年度中に着工、竣工(しゅんこう)し、24年4月の利用開始を予定している。
建設費(解体費を含む)は約2億円。町が19年9月に策定した町アイヌ政策推進地域計画によると、アイヌ政策推進交付金も活用するが、物価高騰などで資材が高騰し増額する可能性はある。
近隣にはアイヌ民族の子どもが通った小学校や「コタンのシュバイツアー」と呼ばれた故高橋房次医師の病院の跡地があり、儀礼で使ういろり付きの部屋を設けるなど、白老アイヌ文化の伝承・発信拠点の役割を持たせるという。