第104回全国高校野球選手権大会最終日は22日、甲子園球場で決勝が行われ、仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を8―1で下し、29度目の出場で初優勝を果たした。東北勢としては、甲子園大会で春夏を通じて初めて頂点に立った。仙台育英は四回に斎藤陽の適時打で先制し、五回に橋本と山田の連打で加点。七回に岩崎の満塁本塁打などで5点を奪った。斎藤蓉、高橋の継投で下関国際打線を1点に抑えた。3度目の出場で初優勝を目指した下関国際は、山口県勢として64年ぶりの優勝はならなかった。
大願成就
第1回大会の秋田中から107年、東北の悲願だった優勝旗の「白河の関」越え。宮城大会から貫いてきた継投策で、仙台育英が大願を成就させた。
先発を任されたのは、3年生左腕の斎藤蓉。140キロ前後の速球で厳しく内角を突き「要所で三振が取れ、打たせて取ることができた」。八回からは高橋。先輩から「自分のいいところを最大限出していけ」とバトンを受け取った2年生右腕も、力のある速球でぐいぐい押した。2人の継投で5安打1失点。粘り強い下関国際打線に力を発揮させなかった。
大会を通して、対戦校に応じて組んだ起用プランは大崩れせず。「怖いくらいに想定通りになった」と須江監督。消耗が少ない分、大会後半に差し掛かっても投手陣の球威が衰えることはなかった。絶対的なエースがいなくても「育成と勝利を両方得るため」の継投策で、頂点まで登り詰めた。
ベンチ入りを逃した投手たちは大会中、対戦校の投手を分析。特徴をまねて打撃投手を務めた。「試合に出ても通用する、本番に近いかそれ以上の投手」と佐藤主将。下関国際の左右の二本柱攻略も、投手陣の層の厚さがなせる業だった。
「一度扉が開けば、いろんな学校がなだれ込んでくる。東北にはその力がある」と須江監督。今後どれだけの高校が続こうとも、永遠に輝き続ける第一歩が刻まれた。