8年がかりで完成 コケ美しき日本庭園 原田さん宅  白老

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2022年8月16日

 白老町虎杖浜の原田幸一さん(76)宅の日本庭園が、近隣の人の心を和ませている。製紙会社を定年退職後、約50平方メートルの庭に独学で造園を手掛け、8年がかりで完成させた。それから8年間、庭木の枝切りや手入れを丹念に続けている。庭を見た男性は「敷石や小川の流れをくねらせることでスペースを大きく見せている。独学でここまでできるとは」と驚いていた。

 壮瞥町出身の原田さんは、伊達高校卒業後に白老町の製紙会社に就職。休日は京都の神社仏閣を旅して、庭園の仕組みなどを観察した。2003年に現在の自宅を購入し、06年の定年退職を機に念願の庭造りに取り掛かり、14年に完成させた。

 植木店で調達したグミ、ヤマボウシやイロハモミジなど約10本を植え、遠近感を出すために木の剪定(せんてい)から敷石の配置までこだわった。コケは自然な風合いを重視し、複数の種類をはわせた。

 石を組んで造った小さな滝は自ら掘った小川につなげ、ポンプで循環させている。小川の先にある池には金魚4匹を、コイのミニチュアのように悠々と泳がせている。太鼓橋も見よう見まねで造った。「一人でこつこつと作業するのが楽しかった」と原田さんは笑顔を見せる。

 仕事で原田さん宅を訪れる機会の多い虎杖浜の60代男性は「芝生かと思ってよく見たら全てコケだった。水まきにも手間がかかるだろう」と感心する。原田さんは「自ら進んで人に見せることはないが、見てもらって喜んでもらえるのはうれしい」と照れくさそう。コケが鮮やかな緑を保つよう2日に1度の水やりを欠かさず、「これからも静かに庭と向き合っていきたい」と話した。

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