むかわ町穂別博物館は、館内に展示する主要な化石について解説した動画を充実させている。同館の学芸員らが博物館の魅力やアンモナイトやハドロサウルス科の植物食恐竜「カムイサウルス・ジャポニクス」(通称むかわ竜)などの化石について分かりやすく説明しており、貴重な映像資料として公開。動画は館内に設置しているほか、同館の動画投稿サイト「ユーチューブ」のチャンネル(同名)で閲覧することができる。
動画サイトは2020年7月に開設し、当初は過去にあった映像のみを公開していた。しかし、新型コロナウイルス感染症対策として、来館者に口頭説明をしたり不特定多数が触る可能性のある資料を配布したりするのが難しいことや、遠方からなかなか来られない人がいることを踏まえ、「(館内資料などについて)家でも気軽に見られるようなものができないか」と模索してきた。
動画は同館のスタッフが撮影、編集を手掛け、博物館の歴史やむかわ竜、「ホベツアラキリュウ」「モササウルス類」といった穂別地区で発掘された恐竜やクビナガリュウの化石などに関する内容8本を昨年8月までに公開。さらに化石発掘調査の模様を昨秋追加し、アンモナイトやイノセラムスなどを紹介した6本を今年2月までに更新した。
撮影、編集を担当した阿部恭子学芸補助員は「実は日本に一つ、世界に一つしかないものが穂別博物館にはある。(展示だけでは)伝え切れていない部分を動画で伝えることができれば」と期待。「内容が専門的になり過ぎないように、分かりやすく、かみ砕いて伝えるように意識した」とアピールする。
西村智弘学芸員は「博物館観覧前の予習や、帰宅後の復習にも役立つ有意義な内容になっている」と言い、今後は「クリーニングの仕方や展示物の作り方なども紹介していけたら。大学の教授など専門家の詳しい説明も模索していきたい」と話している。