白老町消防本部の消防士長、長野光希さん(27)が27日に札幌市で開かれた全道消防職員意見発表大会(全国消防長会北海道支部主催)に出場し、災害救助犬をテーマに自身の主張を発表した。結果発表は5月上旬になる見通しで、吉報を心待ちにしている。
全道大会の出場権は、同支部で胆振、日高をエリアとする道南地区大会で優秀賞に選ばれて獲得した。27日の大会はオンラインで開催され、5地区の代表者11人が挑んだ。6月8日に横浜市で開かれる全国大会への切符を懸けてそれぞれ意見を発表。審査の結果は来月発表される。
白老町消防本部からの全道大会出場は、昨年の長谷川秀平さん(32)に続き2年連続。長野さんの発表テーマは「生死を分けるタイムリミット」で、大規模災害が続発する昨今、人間が飲まず食わずで生き延びられる限界とされる72時間(3日間)以内に1人でも多くの命を救うため、災害救助犬の迅速な現場投入を提案した内容だ。
災害救助犬の存在に注目したのは、2021年7月、熱海市で発生した土砂災害での活躍を知ったのがきっかけ。調べていく中でこの犬の情報が少なく、全国的に普及もしていない現状を知った。登別市のNPO法人「北海道災害救助犬」を訪ねて育成担当者に取材し、現場の救命率を上げるためには、嗅覚(きゅうかく)などに優れた災害救助犬の活用が必要と痛感したという。
活用を実現するには、北海道などの自治体や地域の消防、災害救助犬を預かる団体が平時から災害協定を結び、不測の事態に備え、日常的に高度な連携と訓練を実施していくことが重要と訴えた。「災害救助犬の存在を多くの人に知ってもらうために、全国大会の舞台で災害救助犬の普及に向けた思いを伝えたい」と意気込む。
道南地区大会には、3歳上の兄で日高西部消防組合平取消防署勤務の洸(ひかる)さん(30)も出場し、3位に当たる努力賞を受賞した。光希さんは「兄を含め、全道大会に出場できなかった道南地区の消防隊員の思いを引き受け、全道大会で良い結果を出したい」と目を輝かせている。