駒大苫小牧高校女子野球部が、1年生を加えた56人の大所帯で新年度の活動を本格化させている。創部3年目で全学年がそろい、道外強豪にも劣らない陣容がいよいよ整った。藤井華子主将(3年)は「初心に帰ったような気持ち。学年関係なく、ベストなメンバーで夏に向かえるように全員でレベルアップしていく」と決意を語った。
新戦力はマネジャーを含め16人。道内はもちろん、大阪や東京、青森などからも有力選手が集まった。茶木圭介監督は「技術の高さはもちろん、駒沢で野球がしたいという強い意志を持って入ってくれたことが何よりもうれしい」と目を細める。
札幌市出身の篠崎芹(手稲西中出)は小学時代、プロ野球12球団が各本拠地の小学生選手でチームを編成し戦うジュニアトーナメントに北海道日本ハムの一員として出場。中学では硬式クラブ余市リトルシニアで腕を磨いた期待の即戦力の一人だ。
女子野球部への入部は、チームが創設された中学2年時から決めていた。目標は三塁手でのレギュラー獲得。「細かい技術をしっかり磨いていきたい」と言う。
藤井主将らと同じ東京の中学女子軟式野球チーム三鷹クラブWで投手として活躍した佐藤里音(稲城第二中出)は、巨人やソフトバンクで活躍した元投手の佐藤誠さんを父に持つ。篠崎と共に、すでに練習試合で起用されている。
「目標に向かって全員で突き進んでいく雰囲気がいい」と駒大苫の魅力を表現。硬式球への順応など乗り越える課題は多いが、「投手としてみんなをまとめられる存在になりたい」と頼もしい。
茶木監督は「3年間で人として成長してもらうことが一番。熱く夢を語り合えるような仲間づくりをしてほしい」と期待。藤井主将は「駒苫の伝統を継承していきながら、充実した時間を過ごしたい」と語った。
―レギュラー定着に奮起 苫小牧出身2年生・渋木
地元苫小牧市出身の2年生渋木菜都が、レギュラー定着に闘志を燃やしている。「今は野球が楽しい」と笑顔を見せる伸び盛りの強打者だ。
鮮烈な公式戦デビューだった。3月の全国選抜大会(埼玉県加須市)2回戦の福井工大福井戦。当時1年生で唯一、5番指名打者でスタメンに名を連ねた。初打席となった二回1死走者なしで「緊張なく打席に入れた」と相手エースの直球を右前に運んだ。
もともと打力には定評があったが「試合形式になると打てない」時期が長く続いた。
飛躍のきっかけをくれたのは指導者たちだった。まずは元女子プロ野球選手の佐藤コーチ。テークバックが大きくミート率が悪かった渋木の打撃フォームを見抜き、「バットを体の近くから出そう」とアドバイスをくれた。茶木監督には足の運び方や、打球方向を逆方向へ意識づけるよう助言された。
冬期間で修正を重ね、失いかけていた自信を取り戻した。全国舞台での一打は、それを確信に変える会心の当たりだった。
4月から下級生が多く加入した。「もっと頑張らなきゃ」と渋木は気持ちを新たにする。次の目標は一塁手としてグラウンドに立つこと。「打線の主軸を担って、安心感のある守備ができる選手になりたい」と意欲は尽きない。