全国各地の神社仏閣などで琉球芸能を奉納している琉球芸能奉納団(伊禮末子団長)が23日、アイヌ民族文化財団(札幌市)が管理運営する民族共生象徴空間(ウポポイ)・慰霊施設=白老町=を訪れ、北海道アイヌ協会や財団関係者らを前に鎮魂と祝賀の舞を披露した。同財団によると、同施設でアイヌ民族ではない団体関係者が慰霊の踊りを奉納するのは初めて。
奉納に先立ち、道アイヌ協会の加藤忠前理事長が、魔よけと慰霊の意味を込めたイクパスイ(神への祈りに用いる道具)のモニュメントの前であいさつし、「今の日本を形づくる文化は、一つの色ではなく多様で豊かな要素からできていることを目に見える形で示している」と奉納団に感謝した。
奉納団は2020年6月ごろ、同財団に21年9月の予定で舞踊の奉納を打診していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、延期を余儀なくされた。奉納では、琉球伝統の衣装をまとった踊り手や鼓、笛、三線などの演奏者ら25人が古典舞踊の代表曲で行事の最初に披露する「かぎやで風節」を演奏し、舞った。
楽曲には「きょうのうれしさは何に例えられようか。つぼみのままだった花が開いたようだ」という意味が込められている。伊禮団長は「最大の敬意を持って踊ることができた」と笑顔を見せた。
ウポポイ内で奉納団とアイヌ民族の舞踊チームとの舞踊による交流も行われ、関係者は「これからも海外を含めたさまざまな文化団体と活発に交流を進めていきたい」と話していた。