白老文化観光推進実行委員会(会長=熊谷威二白老商工会会長)は20日、しらおい創造空間「蔵」=町本町=で、芸術を軸に据えたイベントで地域活性化に成功した観光先進地の視察研修報告会を開いた。町民ら52人が参加。今年3月下旬に香川県直島(なおしま)町、大分県別府市、同県の国東(くにさき)半島を訪れた3人の話に耳を傾けた。
同実行委の文化芸術プロジェクト「白老文化芸術共創―ルーツ&アーツ シラオイ2022」の一環。
報告者は同実行委の企画担当木野哲也さん、事務局佐藤雄大さんと、白老文化芸術共創広報担当山岸奈津子さん。視察先で撮影した写真やメモをスクリーンに示しながら、各地における魅力発信の手法など、学んできたことを紹介した。
このうち、人口約3000人の直島など12島で開かれている「瀬戸内国際芸術祭」は「海の復権」を掲げ、瀬戸内の島々に活力を取り戻すことを目指したイベント。コロナ禍前となる19年の会期中(4~11月)には約117万人が訪れ、約180億円の経済効果があったという。アーティストらの移住が進み、会場の一つである男木(おぎ)島では廃校だった小中学校が再開したことなども報告された。木野さんは「島の中に点在する作品群を巡ってもらうことで、(芸術祭が)土地の歴史や魅力を発見してもらう仕組みにもなっている」と地域資源と文化芸術を生かした観光政策の利点を力説した。
このほかNPO法人ベップ・プロジェクト(別府市)が主催する「国東半島芸術祭」の事例も伝えられた。
同実行委は今年計画していることとして、8月27日~10月10日の37日間を会期に民族共生象徴空間(ウポポイ)との協働によって町内複数会場で作品展やパフォーマンス、地域住民共創の作品制作、ラジオ番組などを繰り広げるプロジェクトを構想していることを発表した。