北海道農業公社の2021年度新規就農優良農業経営者表彰で、ホウレンソウ栽培を営む厚真町厚和の安達博司さん(50)、悦子さん(51)夫妻が最優秀賞を受賞した。表彰は優良な農業経営を行う新規就農者を対象に1994年度から行われており、今年度は安達さん夫妻が唯一の受賞。町内では初めてとなった。
博司さんは小樽市出身。埼玉県で焼き鳥の移動販売をしていたが、家族との時間がある生活を求めて、11年8月に地域おこし協力隊・農業支援員として厚真町へ移り住んだ。
それまで農業の経験はなかったが、町内での研修を経て、14年3月にホウレンソウ専業農家として就農。「堅実かつ誠実に向き合う農業」を経営コンセプトに、ホウレンソウの専作として4月から12月中旬まで切れ目なく出荷を続けるほか、近郊都市の小売店に直接出荷するなど新たな販路開拓にも努めている。さらに、現在はオクラの栽培も行っている。
農業の魅力について「消費者のニーズに合った物を自分の考え、やり方でいくらでも広げることができること」と語る博司さん。自身の経営だけではなく、後に続く新規就農者の模範として相談に乗ったり、アドバイスをしたりしている。
18日に厚真町役場で表彰セレモニーが行われ、道農業公社の小田原輝和理事長は「さまざまな課題を乗り越え、新規就農を目指す方の模範、地域農業のリーダーとしてご活躍を」と激励。博司さんは「一年一年をやり切って10年近くたって、表彰までしていただき、実感がない」と受賞の心境を語り、今後「同じような新規就農者や農業を目指して踏み出す人が一人でも出てきたらうれしい」と話している。