厚真町は6日、2050年までに二酸化炭素(CO2)の実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティあつま」を宣言した。同日の記者会見で宮坂尚市朗町長は、太陽光・木質バイオマス発電設備を使ったエネルギー地産地消事業、胆振東部地震で被災した森林再生などを挙げ、「災害に強く、環境に優しいまちづくりを目指す。これまでの取り組みをゼロカーボンに歩調を合わせて政策を進めていきたい」と言葉に力を込めた。
町では、すでに道の補助事業で町内3施設合わせて約340キロワットの太陽光パネル、810キロワット時の蓄電池を稼働。このうち、新町地区の給食センターには今年度、木質バイオマス発電所(発電出力50キロワット)を設け、地震で被災した倒木と廃熱を利用してイチゴ栽培をする施設を整備する。
さらに今年度は、民間から受けた企業版ふるさと納税の寄付を活用し、富里浄水場と、こぶしの湯に供給する本郷地区の旧福祉施設跡地の2カ所に、町独自に発電設備を設置する。計約900キロワットの太陽光パネル、計約1000キロワット時の蓄電池を見込んでおり、「防災力の強化」や「公共施設群の再生可能エネルギー活用」「排熱利用による産業創出」を進める。
また、地震で被災した森林の再生と現存する森林を管理することによって、二酸化炭素吸収源を確保していく考え。今年度から森林再生に関する事業を本格化する予定で、町内だけで3200ヘクタール以上にもおよぶ森林被害を回復させることで「吸収力は7600トン以上にも相当する」と説明した。
宮坂町長は、日本が掲げる30年度の温室効果ガス削減目標「13年度比46%減(さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていく)」について、町として「手応えはあるし、実現できる目標値だと思う。民間、公共で削減の努力をしていきたい。震災の復興にも弾みがつくのでは」と意欲をうかがわせた。
環境省によると、同宣言の表明は3月末時点で全国41都道府県679自治体に上り、道内では札幌市や苫小牧市などが表明している。