安平町防災会議委員と専門職員らで構成する胆振東部地震検証本部会は6日、同地震災害検証報告書を公表し、町に提言した。地区ごとに復興格差があるほか、今後の備えなど町民から寄せられた意見がまとめられており、町は今年度の策定を予定している「第2次安平町総合計画後期基本計画」など今後のまちづくりの指針となる各種計画に反映させていく考えだ。
同本部会は昨年7~8月に満18歳以上の全町民(転出者を含む)6573人にアンケートを実施。また昨年から今年にかけて町職員、自治会・町内会、とまこまい広域農協、商工会、社会福祉協議会などの関係団体、震災当時小学生だった中学生へのヒアリング調査を行った。
その結果、生活再建に関して地区や被災程度によって復興にばらつきがあることや、被災者の心と体のストレス軽減の取り組みについて十分ではないと指摘する声が上がった。また中学生からは、「これまでに受けた支援への感謝や町の復興への努力を町内外に発信したい」との思いが寄せられた。
提言には▽被災者の意見を踏まえた復興スピードの加速▽道路・施設整備に関する町民の充足度の把握▽震災の経験を町の教訓とした継続的な取り組み▽行政と関係機関の体制構築▽防災教育・防災訓練の必要性―などを盛り込んでいる。
同本部会長を務める道総研北方建築総合研究所の渡辺和之副所長は「町民の辛抱や苦労、克服してきたもの、足りないものなど(私たちが)受けてきた話をこれからの安平町に生かしていただけたら」と期待。町復興アドバイザーでもある新潟大学の田村圭子教授は「地域間の復興のばらつきは課題。町民全体で思いを共有できるようになることが復興のポイントになる」と話した。
及川秀一郎町長は「防災減災にも寄与するものができた。一日も早く復興を感じてもらえるような取り組みをしないといけないと思っている」とし、「10年後、20年後、町に入ってくる職員にも(状況を)認識してもらえるようしっかり受け継いでいきたい」と話していた。