むかわ町の国民健康保険穂別診療所の副所長に1日付で就任した香山リカさん(61)=本名・中塚尚子=。現在の心境や地域の印象、今後の意気込みなどを聞いた。
―着任して、改めて率直な気持ちは。
10年ほど、『いつかは地域医療に関わりたい』と思っていて、実現できるのか半信半疑の中で準備を進めてきた。その中でむかわ町穂別の診療所に勤務する日がついにやってきた。自分の中では非常にエキサイトしている。
―穂別診療所の印象は。
コンパクトだが、夏目寿彦所長以下、スタッフの意欲がとても高く、医療の体制も一通り充実している。へき地だからと言って孤立しているわけではなく、北海道の都市部とも連携しているし、もっと言えばインターネットなどの勉強会を通じて全国最先端の医療とも連携をしながらやっていることが分かった。へき地で切り離されているという従来のイメージとはまったく違うのだと思った。安心して、勉強をしながらやっていきたい。
―診察で穂別地区の住民と接して。
高齢の方が多いが、それぞれがしっかり地に足を着けて人生を歩んできているのだと感じた。診察の枠を超えて、いろんな人生の話を聞かせてもらい、こっちも泣いたり、面白くて笑ったりしながら過ごしている。
―楽しみにしていることは。
穂別診療所の採用が決まった後に、(プロ野球・北海道日本ハムファイターズに)ビッグボス(新庄剛志監督)の就任が決まって、テンションが上がっている。ファンクラブにも入っているし、一緒に北海道を盛り上げていけたら。
また、穂別には宝とも言えるカムイサウルス(ジャポニクス=通称むかわ竜)の恐竜化石がある。あれだけ完全な形の化石は全国にもなく、周りからもうらやましがられる。穂別博物館にも足を運んだが、貴重な化石がたくさんあって、もちろん医療を一番の目的にして来たのだが、将来的に博物館も改修し、カムイサウルスの全身骨格が収まるような施設ができれば。
―執筆や講演については。
規定があるので、町の方と相談しながら抵触しないような形を取っていきたい。非常勤講師として続けなければならない授業はオンラインなどで対応していくことになる。町のことや地域医療のことをいろんな人に知ってもらえるような活動はしていきたいと思っている。