白老町は、老朽化が進む役場庁舎の改築に向けた基本計画を2022年度に策定する。施設の機能や建設予定地、事業スケジュールなどを具体的に示したもので、町立図書館などを統合した複合施設を想定している。町は、アンケートによる町民意見も踏まえて計画を作り、早ければ25年度の新庁舎完成を目指す。
現庁舎(大町)は、鉄筋コンクリート造りや軽量鉄筋造りなどの建物で、延べ床面積は3230平方メートル。1955年に建設後、高度成長時代の職員数増加に伴い増築を繰り返した。古い建物で築65年以上、増築部分でも30年以上が経過。老朽化が進み、延べ床面積の約半分が既に耐用年数を超えている。
耐震性も弱く、胆振東部地震と同程度の地震が発生した場合、倒壊の危険性が高いことが耐震診断で判明。災害対応の本部機能を担う庁舎が地震被害に遭い、機能を果たせなくなる可能性もある。このため、町は改築に向けて20年8月、庁舎建設検討委員会(委員長・古俣博之副町長)を設置。新庁舎の方向性を協議し、21年3月に建設基本構想を取りまとめた。
22年度は、新庁舎の内容をより具体的に示した基本計画を策定。健康福祉課や高齢者介護課、学校教育課など外部公共施設にある5部署を集約し、町立図書館も組み込んだ複合施設―とした基本構想や町民アンケートを踏まえ、施設の規模や機能、建設予定地、総事業費、整備手法、事業スケジュールなどを計画に反映させる。
基本構想では、221人の職員配置や図書館の統合を考慮し、建物の延べ床面積を7000平方メートルと想定。駐車場は来庁者用90台分、職員用136台分、公用車用53台分を確保し、建設費の総額を約40億円とはじいた。建設場所は、旧白老小学校敷地(大町)、現庁舎敷地(同)、町営住宅緑丘団地敷地(緑丘)、旧旭化成工場敷地(緑町)―の4カ所を候補地とした。
町は22年度に基本計画を作った後、23年度に新施設の設計に入りたい考え。順調に進めば、最短で24年度に着工、25年度の完成を目指す。事業費の確保は役場庁舎建設基金のほか、有利な交付金や起債の活用を検討。整備手法は、設計・施行一括発注方式などさまざまな方策を考える。
施設の構造については、道が昨年公表した道内太平洋沿岸地域の津波浸水想定を意識して検討。日本海溝や千島海溝で巨大地震が発生した場合、従来想定を上回る津波浸水深や範囲が示されたことから、被害軽減の対策を取り入れる。地震や大雨、台風などによる自然災害が国内で多発する中、町は「町民の財産や生命を守る防災拠点機能を担う新庁舎の方向性を見いだしていきたい」としている。