任期満了に伴い、15日に告示されたむかわ町長選は現職の竹中喜之氏(68)が無投票で3選を決めた。2018年9月に発生した胆振東部地震の復旧復興が道半ばの中、流行する新型コロナウイルス感染症への対応と山積みになったまちの課題にどう立ち向かっていくのか。3期目に向けた抱負を聞いた。
竹中氏は2期目について、「地方創生に取り組んでいる矢先に震災があり、その後にコロナが来た。災禍の連続を教訓とし、警鐘の鳴る4年間だった」と回顧。創造的復興をこれから具現化、加速化させるのはもちろんだが、同時に「むかわ町も今後、海溝型地震で大きな被害を受ける可能性があり、近年の気候変動にも対応していかなければいけない」と備えの面を強固にしていく考え。
今後について「事前復興」という言葉を打ち出し、「災害により強いまちづくり、『事前復興』を意識していくことが住みよいまちづくりにつながる」と強調。これまでに締結した災害や包括連携を含むさまざまな協定を生かして人材を活用するなど「関係人口の拡大、人材育成を大事にしていきたい」と話す。
また昨年、子育て世代の30~40代の転入超過が起きた経過があることから、子育て基金を設立し、むかわ町を「子育ての町」として確立させたい考え。さらに脱炭素社会に向けた基金設立や関連計画の策定を進めるほか、第2次まちづくり計画の重点プロジェクトでもあるまちなかの再生や恐竜ワールド構想、地方創生、タウンプロジェクトにも力を入れ、「未来志向の好循環づくりにつなげていけたら」と構想を語る。新しい時代に対応したという点では、SDGs(持続可能な開発目標)を町民にも浸透させられるような啓発活動を展開していくという。
旧鵡川町と旧穂別町が生き残りを懸けて合併してから16年。「声なき声、見えにくいところを見落としていないか。しっかり耳を澄ませ、目を凝らして一体化を進めていかなければならない」とし、「インフラばかりではなく、古里の素材を使った共同事業などを生かし、コミュニティーの醸成、まちなかの再生、なりわいの創出といったソフト面の充実にも取り組み、両地区を合体させたむかわ町全体のつながりをつくりたい」と言葉に力を込めた。