白老町議会定例会3月会議は10日、会派代表質問と一般質問を行った。この中で町は、障害者支援策の一環として2022年度に「手話言語条例」を制定する方針を明らかにした。条例の制定により、手話の普及や聴覚障害者の安心な暮らしにつなげる事業を展開する。貮又聖規氏(みらい)の代表質問に答えた。
手話は障害者基本法で「言語」として位置付けられ、普及に向けて条例を作る自治体が道内でも増えつつある。道は18年に条例を設け、胆振管内では苫小牧市や登別市、室蘭市、伊達市などが制定。市民向け手話講習の実施、イベントや会議への手話通訳者の派遣といった取り組みを進めている。
白老町も第4期障がい者福祉計画(21~26年度)などに、23年度までに条例を作る方針を明示。昨年には町立国保病院や観光インフォメーションセンターなどに手話通訳用タブレット型端末機を導入し、聴覚障害のある人たちのコミュニケーションを支える環境づくりにも取り組んだ。
条例制定の見通しに関する貮又氏の質問に、戸田安彦町長は「既に制定した道内27自治体の状況を参考にしつつ、22年度中の制定に向けて、具体的な施策について検討していきたい」との考えを示した。
広地紀彰氏(いぶき)は代表質問で、20年度で終了した財政健全化プランの成果を尋ねた。戸田町長は「財政調整基金残高は10億円を超え、健全化判断比率もプランに掲げた短期目標を達成。一般会計の起債残高も100億円を下回るなど、プラン策定時の危機的財政状況からは脱したものと捉えている」と述べた。
一般質問では、大渕紀夫氏(共産)が町立国保病院事業会計の状況について説明を求めた。町は「21年度決算見込みでは、病院事業収益7億7600万円、費用8億1800万円。差し引きで約4200万円の純損失と、約9400万円の不良債務の発生が想定される」とし、依然として厳しい経営状況にあることを説明した。
長谷川かおり氏(公明)は高齢社会に対応した取り組みとして、町民の終活をサポートする必要性を強調し、町の姿勢をただした。町は「地域包括センターの総合相談の中で、葬儀や墓、財産などの心配事について相談される方もおり、その際には担当課や専門家を案内しているところ」とし、「高齢化の進展で終活支援ニーズはますます高まる」との認識を示した。