むかわ町青葉で移転新築を進めていた胆振東部消防組合消防署鵡川支署が今月完成し、運用を開始した。有事の際に屋上を一時避難所として町民に開放するほか、役場機能が停止した場合に会議室を災害対策本部として使用できるなどの機能を備え、災害に強いまちづくりを目指す町は、胆振東部地震からの「復興のシンボル」として位置付けている。
町内駒場にあった旧庁舎は、1980(昭和55)年に建築。築40年以上が経過し、老朽化が進んでいたほか、2018年9月に発生した地震で、基礎が破壊され、建物が傾斜するなどの被害を受けた。また、津波浸水区域内に位置していたことから、移転新築することを決めた。
新庁舎の建設は、防災拠点施設の復旧・整備として、町が19年に策定した復興計画にも盛り込んでおり、20年度に着工。本来5、6年かかる工期を2年ほどで完了させた。総事業は約11億7800万円で、このうち建築費は約9億1750万円。
新庁舎は、鉄骨造5階建てで、延べ床面積約1380平方メートル。主な特徴として、一時避難所や災害対策本部となる以外に▽各種救助訓練を実施できる▽救急車の待機場所を隔離された車庫にし、消毒室も設けて衛生管理を徹底している▽停電時に電力を確保できる自家発電設備を完備している―など。まだ在籍していないが、今後女性職員を採用した際の専用スペースも確保しているという。運用は9日に開始した。
鵡川支署の高橋壱範主幹は「復興のシンボルとして、町民を支えるような活動を今まで以上にしていきたい。住民に頼られる施設として、ここに建ってよかったと安心してもらえるように努力していきたい」と話している。