かつてはスター選手として沸かせた札幌ドームでの初采配。日本ハムの新庄監督が目指している野球で白星をもぎ取った。1安打で1点を奪って零封勝ち。「投手もいいし、守備もいいし、言うことがない」とうれしそうに話した。
無安打に抑えられていた七回1死一塁。監督が動いた。細川の初球にヒットエンドランのサイン。空振りとなったが、石井が二盗に成功。細川は3球目にセーフティー気味の送りバントを決め、続く佐藤が右前にしぶとく落とす適時打を放ち、均衡を破った。
理想的な点の取り方に、監督はベンチで大きく手をたたいて喜んだ。「1安打で勝つ試合を60試合くらいしたい」。冗談交じりの口調だったが、大げさには聞こえなかった。
キャンプでのシート打撃でも、小技に取り組ませていた。「今は見抜く時期」と位置付け、どの選手がどの作戦を遂行できるのか試している。
手応え十分の勝利に「ファンがどきどきする試合を見せられた。球場で見ないと面白さが分からないという試合を続けていければ」。余韻に浸りつつも、シーズンをにらんで気合を入れ直した。